中国古典小説研究会

■2012年度大会■

  • 日時:2012年8月29日(月)~31日(水)
  • 場所:国立女性教育会館(埼玉県比企郡嵐山町)
  • 参加者:32名

プログラム

8月29日(月)

  • 16:00-18:00 受付
  • 18:00-18:45 夕食
  • 19:00-21:00 総会・海外学会参加報告・交流会

8月30日(火)

  • 09:40-11:30 研究発表1 自由発表
    1. 9:40-10:30 田村彩子(京都府立大学 日本学術振興会PD) 「秦併六国」物語の変遷

      『秦併六国平話』は、形式、内容ともにその他の「全相平話」とは異なることが知られている。『武王伐紂平話』は『封神演義』と、『三国志平話』は『三国志演義』と関係があるとされ、『楽毅図斉七国春秋後集』と『続前漢書平話』にも、同様の題材を扱った小説や芸能があることが知られている。しかし、管見の限りでは『秦併六国平話』のその後の受容や物語の変遷についての研究は、未だに為されていないようである。本発表では、「全相平話」と関係の深い『列国志伝』や、始皇帝が各国を攻める清代の小説『鋒剣春秋』などを取り上げ、「秦併六国」物語の変遷について考察する。

    2. 10:40-11:30 小塚由博(大東文化大学) 張潮と小品作家たち―『尺牘友声集』と『尺牘偶存』を手がかりに―

      清初の文人張潮は、『虞初新誌』など当時流行した小品作品を集めた叢書の編者として知られている。張潮が膨大な数の作品を集めることが出来たその背景の一端には、張潮の広範囲で膨大な数に及ぶ小品作家たちとの交遊が大いに影響している。これは、彼の警句集『幽夢影』に多数の人物の評が加えられていることからも窺うことができる。  ところで張潮にはそれらの友人たちとの間で往来を交わした書簡があり、それを集めた書簡集『尺牘友声集』(1016通)と『尺牘偶存』(455通)が遺されている。本発表ではその書簡の中から編者たる張潮と小品作家たる友人たちとのやりとりを記した作品を選び出して考察を加え、その文学的交流や叢書の編纂過程について迫りたい。

  • 11:30-13:30 昼食・休憩
  • 13:30-15:20 黄霖先生(復旦大学中国語言文学研究所教授) 【講演】日本戰前認知『金瓶梅』的演變

    「金瓶梅」傳入日本後,不同的人還是對它產生了不同的興趣,儘管有一部分人偷偷地看,但還是有一些人在努力搞清它難懂的詞語與名物等,甚至大家在一起公開討論,並通過不同的文藝樣式在傳播。曲亭馬琴在“新編”「金瓶梅」時,通過寫序與同朋友們的討論,對這部小說第一次進行了批評。他的一些觀點產生了深遠的影響。明治期間,一批具有深厚的漢學基礎,又接受西方文藝觀影響的作家對中國小說戲曲作出了新的評價,認同「金瓶梅」作為“四大奇書”之一,同樣是明代屈指可數的代表作,但普遍還被“淫書”的陰影所籠罩。中國學者、特別是20世紀初留學日本的一些學者,接受了當時的對小說戲曲的一些新的觀點後,不再以“淫書”視之,而明確它是一部“社會小說”,並全面地、高度地評價了它的文學價值。之後,在中日學者的互動下,越來越明確「金瓶梅」的認識價值與文學價值,為戰後重視「金瓶梅」的翻譯與研究鋪平了道路

  • 15:40-17:30 研究発表2 自由発表
    1. 15:40-16:30 万润保(浙江工业大学) 明至清初小说中的“靖难”书写

      明至清初,以“靖难”事变为题材的白话小说,其书写重心和书写方式随着社会格局的变化而呈现出三个不同的阶段特点:永乐至嘉靖年间,主要是响应朱棣的“革除”政治运动;万历至崇祯年间,则借表彰建文旧臣,力挽世道人心;清初时期,再借“靖难”事件,总结明亡教训,表达亡国之痛。“靖难”白话小说体现了在特定历史语境中政治与历史、文学的双向互渗互动、协同演进关系。“靖难”的历史编撰和小说书写是响应当时政治“召唤”的产物,但“响应”中既有认同,也有偏离、超越等。“靖难”的文学文本与历史文本之间具有“互文性”,共同构成具体的文化背景,其结果是,有时历史比小说更像小说,小说比历史更像历史

    2. 16:40-17:30 庄逸云(四川師範大学文学院) 清末民初文言小说的刊印及行销

      在清末民初,文言小说的出版型态与印行方式呈现出多样化的态势。就刊、印机构而言,此时期的文言小说一方面仍延续了家刻与坊刻的传统,另一方面,近代出版机构又开始强势介入,在文言小说的出版中逐渐占据主导地位。就小说的印刷与装帧方式而言,传统的雕版、线装仍为一些出版者所青睐,但大量的石印线装或铅印平装书进入市场,并且铅印平装书渐次成为主流。就小说的宣传、行销手段而言,更是花样百出,展现出过去不曾有的丰富性和复杂性。

  • 18:00-19:00 夕食
  • 19:00-23:00 交流会・懇親会

8月31日(金)

  • 07:30-08:00 朝食
  • 09:00-12:00 研究発表3 小説と版本
    1. 09:00-09:50 段江丽(北京語言大学・京都大学) 果报与幻灭——毛评本《三国演义》的历史叙事之二

      在清末民初,文言小说的出版型态与印行方式呈现出多样化的态势。就刊、印机构而言,此时期的文言小说一方面仍延续了家刻与坊刻的传统,另一方面,近代出版机构又开始强势介入,在文言小说的出版中逐渐占据主导地位。就小说的印刷与装帧方式而言,传统的雕版、线装仍为一些出版者所青睐,但大量的石印线装或铅印平装书进入市场,并且铅印平装书渐次成为主流。就小说的宣传、行销手段而言,更是花样百出,展现出过去不曾有的丰富性和复杂性。

    2. 10:00-10:50 上原究一(東京大学大学院) 金谿唐氏・周氏の出版活動と章回小説

      ともに江西撫州金谿県の出身である唐氏世徳堂と周曰校万巻楼仁寿堂は、万暦20年前後に金陵で章回小説を相次いで刊行した書肆である(『中国古典小説研究』第16号所掲拙論参照)。今回の発表では、唐氏世徳堂の主人や、世徳堂の刊行した小説の版木を手に入れて後印した周氏大業堂と周曰校の関係などに触れつつ、唐氏・周氏が章回小説出版史上で果たした役割の輪郭を示し、併せて唐氏・周氏の活動全体における章回小説の比重についても検討したい。

    3. 11:00-11:50 中川諭(大東文化大学) イェール大学蔵周曰校本『三国志演義』について

      イェール大学図書館に周曰校が刊行した『三国志演義』が蔵されている。この本はいわゆる「乙本」と称されるもので、北京大学蔵本と同版、蓬左文庫・内閣文庫蔵本とは異版である。発表者は2012年3月にイェール大学を訪れ、この本を直接調査することができた。本発表では、その際の調査結果に基づき、「乙本」と「丙本」の相違点およびイェール大学蔵本と北京大学蔵本の印刷の先後関係について述べてみたい。

  • 12:00 解散

記事

黄霖教授ら、7名の研究者が中国から参加されました。万潤保・羅釗波・羅書華・李桂奎・荘逸云・許建平各教授(順不同)

総会議事録(摘要)

  • 活動報告 2011年度の活動について会長から報告がありました
  • 会計報告 2011年度の収支決算について事務局長から報告があり、承認されました。
  • 役員選挙 以下のように決まりました。任期は次回大会まで。
    会長
    中川諭
    事務局(順不同)
    笹倉一広・佐々木睦・川浩二・伊藤晋太郎
    幹事
    北海道・東北:勝山稔
    関東:本部兼任
    中部・北陸:笠井直美
    関西:竹内真彦
    中国・四国:高西成介
    九州・沖縄:中里見敬
  • 次回大会開催予定地 2013年度大会は関西で行う方向で検討することになりました。

以上

■2012年度関西例会■

  • 日時:2013年2月9日土曜日 午後12時45分開場 1時10分開始
  • 場所:キャンパスプラザ京都 6階 龍谷大学サテライト教室

プログラム

  1. 西川芳樹氏(関西大学非常勤講師) 出世を求める英雄たち―「東窗事犯」劇、『薛仁貴征遼事略』を中心に

    岳飛故事を伝える最も古い作品に『元刊雑劇三十種』所収の「東窗事犯」劇がある。笠井直美氏は「東窗事犯」劇の岳飛が出世欲、名誉欲を持ち、後世の岳飛故事では出世欲、名誉欲の描写が抑えられ、純粋な国への忠義がその理由となることを指摘する。本発表では、「東窗事犯」劇の岳飛像の変遷に『薛仁貴征遼事略』の薛仁貴像の分析を加え、中国で英雄伝奇と称される、歴史上では次要に過ぎない特定の人物を中心に歴史を語るタイプの歴史文学について、元代に於ける特徴の一端を考察したい。

  2. 林雅清氏 元雑劇と人形浄瑠璃―復讐劇と「死」をテーマに―

    元雑劇と人形浄瑠璃は、どちらも近世の都市芸能かつ庶民芸能であり、ある程度完成された舞台芸術であると考えられる。しかし、両者にはその描写方法に決定的な違いが見られる。今回は特に、それぞれの代表的な「復讐劇」と位置付けられている「趙氏孤児」劇や「仮名手本忠臣蔵」などの作品にみられる「死」の描写などから、両芸能の特徴の一端について論じるとともに、中国人と日本人の民族性の相違についても触れてみたい。

  3. 竹内真彦氏 通俗三国志の底本について

    小川環樹博士が指摘して以降、『通俗三国志』の底本は李卓吾批評本であるということが定説化している。しかし、「通俗三国志」のテキストを読み直すと、この「定説」には修正の餘地があるようにも思われる。そこで、その底本について、幾つかの仮説を提示し、『三国志演義』から『通俗三国志』へ至る翻訳作業について再検討してみたい。

  4. 高橋文治氏 孤山を論じて古楽府に及ぶ

    孤山とは長江中流域に浮かぶ岩山の名であり、大孤山は鄱陽湖に、小孤山は彭澤の北東に位置して、古来、長江を守る女神の住処として伝えられてきた。本発表は、この女神たちの神話が元来如何なるものだったのか、また、その神話は何故どのように人間化していったのかを、碑文、古小説、地誌類、古楽府等の資料を用いて追跡、検証しようとするものである。

■2012年度関東例会■

  • 日時:2012年12月22日(土) 午後1時~6時
  • 場所:早稲田大学戸山キャンパス(文学部キャンパス)39号館5F第5会議室

プログラム

研究発表

  1. 13:00-13:50+質疑応答10分 王佳(埼玉大学M2) 江戸時代における中国白話小説の受容について―『小説粋言』の依拠テキストをめぐって

    『小説粋言』は沢田一斎が、『警世通言』『拍案驚奇』から5篇を選び、訓点や傍訓を施し通読に便ならしめ、宝暦8(1758)年に自身の書肆、京都の風月堂から刊行したものである。「三言二拍」には選本の『今古奇観』もある。『小説粋言』所収5篇のうち3篇は『今古奇観』にも採録されている。この3篇が『警世通言』『拍案驚奇』そのものによったのか、それとも『今古奇観』によったのかが問題となる。本発表では『小説粋言』の5篇をすべて対象とし、それぞれの依拠した具体的な版本を考証する。

  2. 14:10-15:00+質疑応答10分 植松宏之(二松学舎大学非常勤講師) 『儒林外史』を軸にみる杭州の旅

    杭州は西湖を擁する観光名所として知られ、また運河の終着点として商業都市としても繁栄してきた。そのため杭州へは古来多くの人々が訪れた。彼らの主な関心は西湖や郊外の寺廟にあり、それらについての詩詞や遊記といった作品が数多く残されている。しかし、旅の拠点となったはずの都市の様子や、旅の具体的な手段については詳しく知ることができない。
    都市としての杭州を知るための手がかりの一つとして、清代の『儒林外史』が挙げられる。たとえば第14回で科挙の参考書編纂のため杭州に滞在した馬二先生をめぐる描写などから、旅程や都市の様子を探り出すことができる。
      本発表では、『儒林外史』を中軸として他の資料も参照することによって、これまであまり明らかにされてこなかった杭州における旅の様子や都市の姿について考察する。

  3. 15:20-16:10+質疑応答10分 佐髙春音(東京大学D2) 『水滸傳』の語りをめぐる考察-性格描写を中心として

    作中人物の性格描写には、外見や行動などを通して間接的に表現しようとするものと、「AはXXな人である」「AはXXである」といったように、地の文の中で直接的に説明を加えるものがある。発表者は容與堂本『水滸傳』を分析対象として、全百回の中から、人物の性格や性質について直接言及のある地の文の語りを一通り抜き出し、表にまとめるという作業を行った。本発表では、その分布から窺うことのできる叙述の偏りと特徴を紹介するとともに、それらが作品の成立問題にもたらす可能性についても検討したい。

  • 16:30-17:30+質疑応答20分 乔光辉(南京东南大学中文系教授) 【特別発表】“剪灯新话”之插图与文本传播

    清江堂本《剪灯新话》插图构建了一套自己的插图叙事系统。插图叙事与原文本反差较大,它反映了绘工为代表的底层民众对于原文本的解读与接受。《剪灯新话》毕竟是文人写心的产物,许多内容底层民众难以理解。绘工本人即是下层读者的代表,插图也是为了方便下层读者的接受。杨氏清江堂刻本承袭了天理藏张光启刻本,但两者插图均没有抓住文本之要点。与建本插图渐趋游离于文本相比,徽本插图恰恰抓住了文本的核心情节,并强化了文本,但这并不影响徽本插图的独立叙事功能。黄正位刊本“剪灯二种”插图反映出徽商崛起后,富商豪门的自信与自负。本节主要创新在于剖析了插图叙事与文本叙事之间的关系,并考证了“剪灯二种”插图刻工的主要生平事迹。 (中国語 通訳なし)