中国古典小説研究会

■2023年度大会■

  • 日時:2023年12月17日(日) 13:00~17:30
  • 開催形式:対面とオンライン配信の併用(アクセス方法に関しては別途送信しましたメールによる案内をご参照ください)
  • 対面会場:東京大学東洋文化研究所3階大会議室(来場時間は12:30~13:00厳守でお願いします)

プログラム

13:00-13:10 開会挨拶

研究発表

  1. 13:10-14:00  吴锦佩[暨南大学(院)] 论<花月新志>汉文小说的中国趣味 ——兼谈日本汉文报刊小说研究的意义(中国語での発表)

     日本明治期汉文杂志是汉文小说的重要载体,其中有大量丰富的汉文小说材料,是一个还有待发掘的宝库,也是域外汉文小说研究的重要组成部分,蕴含鲜明的时代特色和独特的汉文化内涵。日本明治期是汉文杂志出现的高峰期,杂志刊登的汉文小说类型、主题、题材丰富多样,但还未有学者进行过系统整理与分析。本文结合幕末至明治期日本国家政治与社会文化风潮转变的背景,以《花月新志》为例,全面梳理其所登载的小说主题特征、类型、时代特色及中国趣味,认为日本汉文报刊小说有较高的创作水平与史料研究价值。对明治期杰出的汉文杂志小说作出评价,可以补足如今日本汉文学研究中汉文小说研究的不足,有利于探寻日本汉文报刊小说背后的中日审美差异与文学旨趣,探究明治汉文杂志小说的中日特色与近代意义。

  2. 14:00-14:50  佐髙春音[大阪大学] 文繁本『水滸伝』の諸記号について——その概要と版本研究への活用をめぐって(オンライン)

     明清時代に刊行された多くの通俗小説には様々な記号が施されている。文章の読みどころを示すもの、区切りや間を示すもの、人名や地名を示すもの、文字の四声を示すものなど、記号が果たす機能は多岐にわたる。書物における記号の存在に着目する研究は少なく、従来の書目解題類においても、記号についての情報は皆無または「傍圏あり」程度の記述にとどまっており、その使用の実態は詳らかになっていない。本発表では、文繁本『水滸伝』の主要版本八種を取り上げ、各版本における記号使用の概要と特徴を紹介するとともに、記号に着目した研究の可能性について展望を示す。特に発表者が注目しているのは版本研究への活用である。同一の本文に異なる記号が付加されている場合に、記号の異同という観点から版本間の継承関係・影響関係を探ることは可能だろうか。きわめて近い関係性を持つとされる遺香堂本・芥子園本・全伝本を例に検証を試みたい。

  3. 15:10-16:00  松浦智子[神奈川大学] 明内府製の手鈔彩絵本/経典の系譜:手鈔彩絵小説との関係から

     明代後期、出版業の隆盛にともない、白話小説が絵図付きの形式で多く刊行されるようになった。その同時期、明宮廷やその圏域でも、大量の彩色絵図を持つ白話小説の鈔本が製作されていた。彩絵『春秋五覇七雄通俗演義列国志伝』、彩絵『唐玄奘法師西天取経全図』、彩絵『出像楊文広征蛮伝』、彩絵『大宋中興通俗演義』などである。視覚を刺激する彩色絵図と、分かりやすい白話文を組み合わせたこれらの作品は、宮中やその圏域の子供、女性、宦官といった中下級の識字層を中心に受容されていたと想定される。そのことを裏づけているのが、これら彩絵小説群が製作される以前から明宮圏域で複数製作されていた、手鈔彩絵本/経典や、その周辺の資料である。
     今回の発表では、主に情報共有を旨として、発表者がこれまで収集してきた明内府製と推定される手鈔彩絵本/経典の情報を改めて整理・総覧する。これにより、彩絵白話小説が如何に製作・受容されていた可能性があるのか、その一端について触れてみたい。また、この作業を通して、絵図を組み合わせた白話小説の製作と受容の背後に存在する文化的な機能や文脈を、明宮廷という上層方向から見つめ直すことを試みたい。

  4. 16:00-16:50  上原究一[東京大学] 『三国演義』における呂布と馬超の造形をめぐって

     『三国演義』において、呂布と馬超はともにどの版本系統の本文でも美丈夫として描かれ、きらびやかな軍装の描写にも力が注がれている。この二人は作中屈指の武勇を誇るという点でも共通しており、いずれも曹操を追い詰める場面や張飛との一騎打ちが大きな見せ場となっている。更に、明清の諸版本の挿画においても、早い時期の版本では呂布にヒゲを描くこともあったという僅かな例外を除いて、この二人はいずれもヒゲなしに描かれている。本発表では、二人の造形にこのように多くの共通点が生じた原因について考察してみたい。
     併せて、現代では日中いずれにおいてもこの二人と同じように(或いは彼ら以上に)ヒゲなしの美丈夫で非常に強いというイメージが確立している趙雲についても検討する。

(研究発表時間はいずれも質疑応答を含みます)

16:50-17:20 総会